金沢大学による実証実験報告

日本老年泌尿器科学学会(2024.5)での、金沢大学による実証実験報告です。

男性尿失禁患者に対する、尿漏れケアのための新しい排尿用具『IS-01』の評価

緒言:
前立腺癌の術後などで尿失禁を呈する男性患者は少なくない。尿失禁ケアのため、イントロンスペース㈱で開発された、ペニスに直接装着するタイプの新しい集尿型装具を使用することにより、男性尿失禁患者のQOL向上が得られるかを検討した。

方法:
金沢大学附属病院にてロボット支援前立腺全摘術を施行した直後の患者5名、および尿失禁が6カ月以上持続している同院泌尿器科外来通院中の患者5名に対し、試験参加に同意を得て装具を使用いただいた。

結果:
10名のうち、4週間の使用が継続できた患者は6名であった。6名とも「尿のにおいがしない」「周囲への尿臭の不安がない」と答え、5名が「装着の違和感なし」と答えた。うち4名は、IS-01の継続使用を希望され、12週目まで継続した。キング健康質問票の「失禁重症度」項目の平均値は、使用前の47.8点から使用1か月後に16.7点と有意に改善した。いっぽう、使用継続できなかった患者4名のうち3名が、ペニスのサイズに起因する使用継続困難例であった。

結論:
使用継続できた患者さんにおいてはQOLの改善がみられ、男性の尿失禁患者において快適な生活をサポートするための有用な装具である可能性が示唆された。ペニスのサイズによっては使用が難しいため、今後の製品改良が望まれる。

※『IS-01』はTIMESHIFTのプロトタイプ名称です。実証実験を元に改良を重ねて生まれた製品がTIMESHIFTです。